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構造計画研究所 RESP&Bird-21 ニュース Vol.69 2009/8/22
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本メールは、構造計画研究所RESP&Bird?21の最新情報をお伝え
するメールニュースです。RESP&Bird?21を御導入していただい
ている企業の担当者様、技術的問い合わせ・各種アンケート・意見交換・技
術指導をしていただいた方を対象に、月1回程度の予定で発信しております。
配信変更・追加・停止等につきましては、本メールの末尾をご覧下さい。
[ 目次 ]??????????????????????????????
1.開放工学的基盤面での地震動の大きさの規定を考え直す機会?
2.弊社新館(オイルダンパー制振ビル)地震観測速報
3.RESP-F3T(3次元フレーム新汎用解析プログラム)の機能追加状況
4.あとがき
[ 1 ]???????????????????????????????
開放工学的基盤面での地震動の大きさの規定を考え直す機会?
8月11日の早朝に、駿河湾を震源地とする最大震度6弱の地震が発生しま
した。この地震により、原子炉建屋の地下において観測された最大加速度に
関心が集まっています。
今回の地震は、運転中の中部電力浜岡原発を直撃する格好となりましたが、
同じ敷地内に設置される1?5号機のうち、4?5号機だけが自動停止し、
1?3号機は自動停止にならなかったと報道されました。
これは、自動停止の判断基準となる閾値よりも、4?5号機の観測値だけが
大きかったため、と説明されいます。特に5号機の加速度(426ガル)が
大きく、1?4号機(109?163ガル)に比べて、3倍以上の大きさに
なっていることが明らかにされました。
加速度の測定位置は、原子炉建屋の地下2階ということですので、ほぼ基礎
直上にあたり、建物応答の影響が入り込む可能性は小さいと考えられます。
一般に、原子炉建屋は強固な地盤に直接設置されますので、軟弱な表層地盤
による増幅が原因とは考えられません。
原子炉建屋だけでなく超高層ビルなども含めて、振動解析による設計では、
同じレベルの地震動による支持層の揺れは同じ大きさであることを前提条件
として、開放工学的基ユ面で地震動の大きさを基準化しています。今回の観
測は、この基本的な考え方を覆す結果となっています。
今後、この現象に関する詳細な調査が行われると予想されますが、結論に
よっては、今後の設計方法に大きく影響を及ぼす可能性を含んでいます。
地震直後の加速度観測記録に関する報道
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/182498.html
http://www.business-i.jp/news/ind-page/news/200908120057a.nwc
「浜岡原発4号機は10月前半に運転再開、5号機はそれ以降」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/disaster/090817/dst0908171747019-n1.htm
「浜岡原発の地震被害公開 地盤沈下、ひび割れ…」
http://scfire-mtc-aa02.stream.aol.com:80/stream/1003
[ 2 ]???????????????????????????????
弊社新館(オイルダンパー制振ビル)地震観測速報
8/11(月曜)午前5時7分頃に発生した、駿河湾内を震源とするM6.5
の地震における弊社新館(下記URL)での観測結果を紹介いたします。
建物外観、内観、制振ダンパー設置状況
http://www4.kke.co.jp/resp/topics/topics_all/012.html
各階加速度計・オイルダンパーの変位?荷重について、下記のような最大値
が観測されました。変位?荷重に関しては、測定精度の保証値を下回るレベ
ルですが、参考値として表示しています。
オイルダンパー
最大加速度 最大軸変位 最大減衰力
南北 東西 上下 南北 東西 南北 東西
[gal] [gal] [gal] [mm] [mm] [tf] [tf]
9階 21.9 26.3 10.4 0.25 0.53 0.36 0.99
5階 21.2 32.6 22.5 0.58 0.60 1.23 1.09
1階 14.5 11.6 9.8 0.49 0.66 0.89 1.10
地下3階 11.4 10.9 5.3
GL?50m 10.1 7.9 5.9
応答値の分布は1次モードになっておらず、我々RESPチームが勤務する
5階の加速度が大きくなっています。
[ 3 ]???????????????????????????????
RESP-F3T(3次元フレーム新汎用解析プログラム)の機能追加状況
RESP-F3Tの機能追加状況を以下に示します。
・M?θ型梁要素(材端剛塑性ばね法)の曲げ塑性率の改良
F3T では、材端剛塑性ばね法の基本思想に則って、逆対称曲げモーメ
ント分布状態を前提にして、曲げの不平衡力を計算しておりました。
しかし、モーメント分布が逆対称ではなくなると、不平衡力もわずか
にズレて、塑性率が大きめに評価されるという問題がありました。
設計の場面では、わずかなずれも大問題となりますので、方法を改め
て、塑性率の精度を確保するように変更しました。
・四角形平面応力要素の対応
既に対応済みの三角形要素に加えて、四角形要素を追加しました。
三角形要素は要素内で一定ひずみ要素でしたが、四角形では内部に分
布しますので、重心位置の応力度を算出するようにしています。
・東海ゴム工業TRCダンパー(粘弾性型)の対応
TRCダンパーは、スチレンオレフィン系粘弾性材料を用いた建築向
けの制振装置です。厚さ1cm程度の粘弾性体二枚を、壁状の鋼板の
間に挟んで、せん断変形させることでエネルギーを吸収します。
RESP-M/IIで対応済みの機能をF3Tにも追加いたしました。
・石原吉田H?Dモデルの対応
既に対応済みの双曲線H?Dモデルは、ハーディン・ドルネビッチ
(Hardin-Drnevich)が提案する骨格曲線に、履歴規則としてメイシ
ング(Masing)則を組み合わせた非線形特性ですが、高ひずみ領域で
の履歴減衰を大きく取りすぎる問題があることが知られています。
本モデルは、除荷時に指定された減衰定数から求められる仮想の骨格
曲線を用いることで、H?Dモデルを満足したまま履歴減衰を制御で
きるように改良されています。
・柱梁に対する初期応力の導入
RESP-F3/F3D のように、要素内の応力シフトによる初期応力の考慮が
できるようになります。RESP-F3T では、ファイバーモデルを採用す
ることから、応力シフトは難しいという認識でいましたが、ようやく
解決することができました。
この結果、次潟梶[スから、柱の軸伸縮を無視した場合の柱軸力を、
初期応力として採用できるようになります。
・入力システムのリリース
いままでの RESP-F3T の運用では、ゼロから入力データを記述するか、
RESP-F3/F3D からの自動データ変換を利用するか、のどちらかの方法
しかありませんでした。実験の解析や追加検討の場面では便利でも、
設計ツールとして見た場合には、発展途上であったと思います。
今後、設計ツールとしての利用を進めるため、一次設計機能付き入力
システムをリリースすることを予定しております。来月を目処に、
既存のF3T保守ユーザに一斉配布を予定しております。
[ 4 ]???????????????????????????????
あとがき(RESP&Bird-21担当者近況)
◆数ヶ月前まで、昼休みに30分ほど読書をしていました。また、通勤時に
も1時間程度の読書をするため、月に4?5冊の文庫本を買っていました。
近頃は、以前買ったことのある本を再び買ってしまったり、また読みたい本
も少なくなっています。そこで、ボケ防止もかねて、昼休みに、数独(数字
パズル)を始めました。結構、はまっていて、しばらくは続けるつもりです
(S)。
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RESP&Bird-21 ニュース
発信:株式会社 構造計画研究所 耐震技術部
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http://www.kke.co.jp/resp/
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[ 弊社個人情報保護指針 ]??????????????????????
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