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構造計画研究所 RESP&Bird-21 ニュース Vol.60 2008/4/22
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本メールは、構造計画研究所RESP&Bird?21の最新情報をお伝え
するメールニュースです。RESP&Bird?21を御導入していただい
ている企業の担当者様、技術的問い合わせ・各種アンケート・意見交換・技
術指導をしていただいた方を対象に、月2回程度の予定で発信しております。
配信変更・追加・停止等につきましては、本メールの末尾をご覧下さい。
[ 目次 ]??????????????????????????????
1.休業のお知らせ(4/27?5/6)
2.立体駐車場と本体棟との衝突解析について
3.構造解析における時刻歴積分法について(その2)
4.Windowsの便利な設定(見やすいフォント:メイリオ)
5.あとがき(RESP&Bird-21担当者近況)
[ 1 ]???????????????????????????????
休業のお知らせ(4/27?5/6)
構造計画研究所 耐震技術部 RESP&Bird-21担当窓口は、下記の期間を休業さ
せていただきます。なお、期間中に頂きました、FAX・Mail は、休み明けの
対応とさせていただきます。恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。
・4月27日(日曜)?5月6日(火曜)
4/27(日曜):日曜
4/28(月曜):全社休業(振替出勤済)
4/29(水曜):祝日(昭和の日)
4/30(水曜):全社休業(振替出勤済)
5/ 1(木曜):全社休業(振替出勤済)
5/ 2(金曜):全社休業(振替出勤済)
5/ 3(土曜):祝日(憲法記念日)
5/ 4(日曜):祝日(みどりの日)
5/ 5(月曜):祝日(こどもの日)
5/ 6(火曜):祝日(振替休日)
[ 2 ]???????????????????????????????
立体駐車場と本体棟との衝突解析について
基準法の改正に合わせて、高層評定(性能評価)などにおいて、高層マンシ
ョンに機械式立体駐車場が内蔵される場合に、両者の衝突によるの力のやり
取りを考慮した連成解析を行うよう指導されるようになっています。
これにより、ほとんど影響が無いこニが予想される場合でも、何らかの検討
資料を作成する必要が出てきています。
この件について、問い合わせを頻繁に受けるようになってまいりましたので、
最も簡単に対応するための考え方・手順・注意点を下記にまとめます。
・建物本体の解析に利用した RESP-M/II のデータを拡張します。
立体駐車場は、せん断ばねで評価できるものとします。
・立体駐車場に必要な節点を、本体の上部に積み上げるように拡張します。
・立体駐車場の剛性と本体との接続剛性は、任意層間ばねを利用します。
・構造減衰には、減衰タイプ11番を指定して、立体駐車場の減衰定数を
指定します。立体駐車場の影響を受けて、1次周期がタワー単体の時か
らずれる可能性があることに注意してください。
・本体との接続ばねには、衝突を考慮したハードニングを設定可能です。
復元力特性タイプとして逆行型を指定すると、α2に1以上が指定可能
となり、変位クリアランスが考慮できます。ただし、非対称(圧縮のみ
衝突、引張はフリー)などは設定できませんので注意してください。
・建物本体の応答せん断力と応答転倒モーメント(リスト中のBUILDINGの
出力値)は意味をなさなくなりますので無視してください。
応答値としては、個々の最大応答値を参照するようにしてください。
他にも、立体駐車場が複雑な形状の場合には、STAN/3D の縮合マトリクスを
使う方法や、さらに複雑な形状の場合には、RESP-F3Tを用いて衝突方向と離
れ方向の非対称性を考慮する方法など、様々な問題に対応可能です。お困り
の際には、お問い合わせください。
[ 3 ]???????????????????????????????
構造解析における時刻歴積分法について(その2)
前回は、現在最も一般的に利用されているニューマークβ法が採用された理
由などを中心に、特徴や注意点などを簡単にご紹介しました。今回は、今後
普及する可能性のある積分方法として、HHT?α法についてお話してみた
いと思います。
HHT?α法は、ニューマークβ法をさらに発展させた方法として、80年
代前半に Hilber、Hughes、Taylorの連名で発表されました。建築構造の分
野では、ニューマーク法が主流となった後は、この種の研究があまり活発に
行われなくなってしまい、他分野に比べると紹介事例が少ないようです。
また、機械などの分野の教科書でも、単純に数式を記載するだけの紹介が多
く、開発の経緯まで掘り下げた紹介は見かけません。ここでは、個人的な解
釈を交えて紹介します。
まずHHT?α法のすごいところは、価値観の逆転でしょう。既存の方法で
は、ほどほどの計算量でそこそこ正確な解を求める、という価値観が根底に
流れていますが、本方法は違います。本方法では、計算の量や正確さよりも、
大自由度解析の安定性の確保に重きを置いています。要するに実務的なので
す。
80年代は、科学技術計算用計算機が普及し、研究ではなく商業計算として
大自由度の非線形動的解析が行われるようになってきた時代だと思います。
これはあくまで想像ですが、大自由度解析の経験が浅い中で、計算機の能力
限界ギリギリのモデルに対して納得できる結果を出していくには、(工学的
判断に基づいて)少々強引なこともやらないと、とてもやってられないとい
うことでしょう。
構造減衰などのレーリー減衰が小さい大自由度モデルに対して、粗い積分時
間間隔でも発散させない方法を考えていった場合、数値計算上の高次モード
の励起を抑える方法が必要だということになったのだと思います。
本方法はニューマークβ法を基に、1ステップ前の速度・変位・外力に対し、
係数αを乗じて導入することによって、運動方程式に数値減衰性を持たせ、
解の安定化を計っています。ここでは、数式が書きにくいので省略しますが、
いずれ、RESP?F3T(3次元フレームの汎用解析プログラム)などに
組み込むことになると思いますので、マニュアル等をご覧ください。
本方法の特徴として、小規模モデルに対して適用しても、解の精度を下げる
だけで何のメリットもありませんが、大規模モデルに対しては本領発揮とな
ります。例えば極端な剛性差があるにもかかわらず、振動数比例減衰を与え
ることができないような大規模モデルについては、ニューマークβ法では発
散する可能性が高くなりますが、本方法では係数αを調節することによって
発散を押さえ込める可能性があります。
ビル構造物でも、制振ダンパーやコア連層壁などの集約モデルに置換しづら
いものや、滑り支承や杭地盤連成など、極端な剛性差の要因となるものを一
体で解きたいという要望が高まっています。今後、建築構造でもHHT?α
法が普及していくのではないかと考えています。
[ 4 ]???????????????????????????????
Windowsの便利な設定(見やすいフォント:メイリオ)
Windows Vista がリリースされてから1年以上が過ぎました。期待された
SP1(サービスパック1:修正改善版)もリリースされましたが、企業ユーザ
の皆様からは、ほとんど無視されているようです。
Vista のウリ文句の一つである3Dデスクトップやガジェットなどの「飾り」
は、数値解析ユーザからは、あまり魅力的に見えないのかもしれません。
しかし、役に立たないと思われている機能の中にも一点、数値計算ユーザに
も大変役に立つ機能があります。それが、この「メイリオ」なのです。
しかも、ありがたいことに、なぜかXPでも使えるようになりました。
「メイリオ」は、Vista 標準搭載のためにデザインされたシステム用新フォ
ントです。見易くさせるための数々の工夫がなされています。
詳しい説明は、下記URLに任せるとして、この極めて視認性の優れた新
フォントを、XP(SP2)に導入する方法を簡単にご説明します。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%AA%E3%82%AA
メイリオは、開発環境「Visual Studio 2008 Express Edition」に含まれて
いますので、下記URLからC#言語の開発環境のインストーラを入手する
必要があります(開発環境のインストールが嫌な人はあきらめてください)。
http://www.microsoft.com/japan/msdn/vstudio/express/
Windows XP SP2 日本語版に,Visual C# 2008 Express Edition 日本語版を
インストールすると、自動的にtrueタイプフォントが組み込まれます。
メイリオは、クリアフォントですので、画面の設定が必要です。
デスクトップ上で右クリックし、画面のプロパティ→タブ「デザイン」→
ボタン「効果」→「ClearType」を選択してボタン「OK」します。
普段使うメーラーの画面設定などで、メイリオを選択すれば利用可能ですが、
システムのメッセージに利用するには、以下の手順になります。
画面のプロパティ→タブ「デザイン」→ボタン「詳細設定」→項目「メッセー
ジボックス」にて「メイリオ」を8?9ポイント程度に設定します。
長時間労働で疲れた目を、ぜひ優しいフォントでいたわってあげてください。
老眼にも優しいはずです。
[ 5 ]???????????????????????????????
あとがき(RESP&Bird-21担当者近況)
◆極めて慌ただしく過ぎていった秋と冬、本ニュースも途切れがち、体調も
崩れがちでしたが、ようやくペースを取り戻しつつあります。そして次週は、
なんといってもゴールデンウィーク。今年は、分断間延びした形となり、あ
りがたみ度が今ひとつですが、弊社では土曜出勤を振り替えて連続休暇とな
りました。とはいえ家族や友人まで同調できるはずもなく、一人ぽつんと無
職状態が続くのではないかとの推測が支配的です。それでこそ真の黄金週間
という意見や、やることなくて出社かも?という昭和のお父さんな意見、休
日出勤による残務処理には30連休が必要!といったオウンゴールな意見も
聞こえます。ユーザの皆様には大変ご迷惑お掛けしますが、なにとぞよろし
くお願いいたします。(Y)
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RESP&Bird-21 ニュース
発信:株式会社 構造計画研究所 耐震技術部
〒164-0011 東京都中野区中央4-5-3
mail: TEL:03-5342-1138 FAX:03-5342-1238
http://www.kke.co.jp/resp/
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[ 弊社個人情報保護指針 ]??????????????????????
http://www.kke.co.jp/policy/privacy.html
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