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構造計画研究所 RESP&Bird-21 ニュース Vol.59 2008/2/4
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本メールは、構造計画研究所RESP&Bird?21の最新情報をお伝え
するメールニュースです。RESP&Bird?21を御導入していただい
ている企業の担当者様、技術的問い合わせ・各種アンケート・意見交換・技
術指導をしていただいた方を対象に、月2回程度の予定で発信しております。
配信変更・追加・停止等につきましては、本メールの末尾をご覧下さい。
[ 目次 ]??????????????????????????????
1.構造解析における時刻歴積分法について
2.地震ハザードステーション(J-SHIS)から推定地震波の入手について
3.RESP-M/IIのバージョンアップの予定について
4.RESP-F3/F3Dのバージョンアップ版の発送について
5.あとがき(RESP&Bird-21担当者近況)
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構造解析における時刻歴積分法について
新年も2月になってしまいましたが、今年はニューマークβ法の発案から
約50周年となるようですので、構造解析における時刻歴積分法について、
取り上げたいと思います。
現在、一般的に地震応答解析では、ニューマークβ法による直接積分法が採
用されています。しかし、実務では、なぜニューマーク法なのか、あまり深
く考える時間は無く、前例踏襲的に採用されているのではないでしょうか。
本稿では、ニューマークβ法がどのような経緯で採用され、どのような特徴
があり、今後はどのようになっていくのかについてお話したいと思います。
まず構造物の振動解析を行おうとすると、運動方程式を解くことになります。
運動方程式では、変位の一階微分が速度で、速度の一階微分が加速度となり、
さらに質量・粘性減衰・剛性・外力が釣り合う連立微分方程式ですので、剛
性項が非線形となる場合には、数値積分により解を求めることになります。
運動方程式の数値解法は、オイラーをはじめとする多くの数学者や物理学者
が古くから取り組んできたテーマで、いかに大自由度の方程式を安定的に解
き、エネルギーの保存則を満足し、演算回数や使用変数を少なくできるか、
という点を追い求めてきました。
オイラーの考えた初期の方法や、一般的な数値積分によく用いられるルンゲ
クッタ法などは、数値安定性などの点で淘汰されてしまい、最後に勝ち残っ
た方法が、様々な点でバランスが取れたニューマーク法というわけです。
ところで、オイラーという歴史上の名前と共に紹介されると、ニューマーク
法も18?19世紀の方法かと勘違いしてしまいますが、NMニューマーク
博士は1981年に亡くなられた方で、積分法は1959年頃の研究成果だそうです。
弊社の創業者も、1960年代にコンピュータを導入して数値計算法の研究を
行っており、ニューマーク博士と議論をした当時の手紙が残っています。
話を戻して、数値安定性について少し説明を加えると、ここでいう安定性と
は、積分時間刻みをいくらに設定しても数値計算上の発散が無いという意味
で、構造物の安定性や計算精度とは無関係の概念です。
ニューマーク法は、β値を調整することにより数値安定性を制御でき、β値
が1/4の時には無条件安定となって、いかなるΔtでも解が得られます。
結果が確実に得られるというのは、実務的には非常にありがたい特性だとい
えますが、同時に計算精度が保証されている訳ではありませんので注意して
ください。
また少し話しがそれますが、ニューマーク法は、β値が1/4の時は一定加
速度法、1/6の時は線形加速度法となる、ということは一般的に知られて
いますが、ここでよく誤解されるのが、線形加速度法がβ=1/6ではない
ということです。線形加速度法とは、文字通り加速度の線形補完のことです
ので、ニューマーク法よりも広義だと考えられます。
β値が1/6の場合には、Δtは2/sqrt(1-4β)・ω以下でないと安定にな
らないとされており、ナイキスト振動数(その振動系に含まれる最大の固有
振動数)の2倍以上の振動数(半分以下の周期)を設定する必要があります。
実際には、非線形性の追跡のためには、ナイキスト振動数よりもずっと細か
いΔtを採用する必要がありますので、この数値安定性の問題に遭遇するこ
とは稀だと思われますが、風解析などで1次周期のことしか考えずに、長時
間の積分を行う場合に問題が出る場合がありますので注意してください。
技術解説というよりは、単なる「うんちく」になってしまっている気がして
きました。スペースもとりすぎてしまいましたので、今後の話は次回にした
いと思います。ニューマーク法は、既存の方法の集大成として考え出された
面があり、建築構造の非線形解析では充分な性能を持つため、現在では決定
版として利用されています。しかし、提案から50年近く経った現在では、
さらに統一度を向上した方法として、HHT-α法(Hilber-Hughes-Taylor)
などの新しい方法の運用実績が報告されつつあります。次回は、このあたり
を話題に取り上げたいと思います。
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地震ハザードステーション(J-SHIS)から推定地震波の入手について
防災科学技術研究所(下記URL)が運営する「地震ハザード・ステーション
J-SHIS(ジェイシス)」に関しては、本ニュースVol.17(2005/5/27)にて
既にご紹介しております。超過確率毎に工学的基盤面・地表面での最大速度
などを表示することが出来る、優れたサイトとしてご紹介いたしましたが、
今回は、特定の断層帯に関する詳細法による推定地震波のダウンロード提供
に関して御紹介いたします。
http://www.j-shis.bosai.go.jp/
上記のURLから、上段のコントロール部(日本地図のすぐ上)の「主要断
層帯」をクリックすると、日本地図上に主要断層帯が図示されると共に、下
段に、断層一覧が表示されます。
この断層リストの中の「簡便法」では、前回ご紹介したとおり、地表の震度・
地表の最大速度・工学的基盤での最大速度を表示しますが、「詳細法」では
上記に加えて、増幅率や地震波形(加速度波形・速度波形)を表示・ダウン
ロードすることが可能です。
詳細法の結果が提供される断層帯は、まだ多くありませんが、耐震・防災上
重要な構造物の付近の断層に関しては、研究成果が公開されています。
耐震設計に直接利用できるものではないかもしれませんが、重要度が高い構
造物を設計する際には、大いに参考にできると思われます。
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RESP-M/IIのバージョンアップの予定について
RESP-M/II(建築構造物の質点系振動解析プログラム)に関して、6月頃に
バージョンアップ(Ver.9)を行う予定にしております。
現在のバージョン8は、2001年3月にリリースされてから、約7年間に
渡ってマイナー機能追加を繰り返してきました。その間には、計64回のリ
ビジョンアップ、3回のマニュアル改定、5回以繧フ一斉配布を行っており、
実質的には2?3度のバージョンアップと同等の変化を遂げております。
ただ、最近の約半年間には、機能追加が落ち着いてきたことから、正式に
バージョンアップとして配布することにいたしました。
最近1年間の主な機能追加としては、下記のような項目が挙げられます。
既に活用されているユーザ様もいらっしゃるかもしれませんが、参考までに
列記させていただきます。
・東海ゴム工業製TRCダンパー(粘弾性ダンパー)解析機能の追加
・新日鉄エンジニアリング/住友3M製粘弾性ダンパーの温度上昇警告
に関する機能追加
・昭和電線デパイステクノロジ製免震装置(錫プラグ入り・弾性すべり)
に関する解析機能の追加
・瞬間剛性比例型減衰に、非累積タイプを追加
・曲げせん断モデルの純粋せん断変形量の算出機能の追加
・風応答解析のような長時間積分における桁オーバーフロー対策の実施
・各種エラーチェックの強化(負勾配・減衰と解析タイプの不一致など)
一斉配布の時期が近づきましたら、再度詳細をご案内いたします。
[ 4 ]???????????????????????????????
RESP-F3/F3Dのバージョンアップ版の発送について
RESP-F3/F3D(建築物の立体弾塑性解析プログラム)に関して、下記に示す
機能追加のバージョンアップ(Ver.11)を行い、ユーザ様に一斉発送いたし
ました。
・RC造柱梁における高強度せん断補強筋への対応(F3/F3D)
・節点位置における柱梁の曲げモーメント出力機能(F3/F3D)
節点まわりの曲げモーメントの釣り合いの確認のための機能です。
・耐震壁のせん断耐力に対する倍率値指定機能(F3/F3D)
・ねじれ地震力の考慮機能(F3D)
長大構造物の簡易的な位相差入力に対応するための機能です。
・加振力解析機能(F3D)
主に風洞実験から得られた時刻歴風圧力による風応答解析にための機能
です。
・斜め粘性制振ダンパーの鉛直方法成分の考慮(F3D)
粘性ダンパーによる柱の変動軸力や、梁のたわみを考慮する機能です。
粘性制振間柱の柱頭柱脚モーメントを梁に伝達する機能も含めています。
・粘性制振ダンパー抜きの層せん断力の集計機能(F3D)
粘性制振ダンパーを用いた建物の設計のための補助機能です。
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あとがき(RESP&Bird-21担当者近況)
◆20年以上、公私ともに、大変お世話になった北海道の友人が突然の病で
亡くなり、葬儀に出席いたしました。葬儀会場へ向かう途中、雪の降る峠で、
車のスリップ、あわや崖下に! 友人が呼んでるのでは! 一転無事とわ
かった時には、友人が助けてくれたのでは! 身勝手な自分に呆れますが、
この生かされた命を大切にしなければと、気持ちを新たにしています。
ご冥福をお祈りいたします。(M)
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RESP&Bird-21 ニュース
発信:株式会社 構造計画研究所 耐震技術部
〒164-0011 東京都中野区中央4-5-3
mail: TEL:03-5342-1138 FAX:03-5342-1238
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