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FAQ よくある質問

RESP-M/II 制振関連

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非線形の制振ディバイスを用いているのですが、計算結果が線形になってしまうのはなぜですか?

「RESPコマンド」で線形解析を指定している場合には、非線形ディバイスでも線形として処理します。また、制振ディバイスは時刻歴解析以外では解けませんので注意してください。

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粘性ダンパーを入れた場合に、気をつけることはありますか?

基本的なところでは、以下のような点になります。

  • 等価減衰定数の確認(臨界減衰をはるかに超えるような、極端に大きな減衰定数になっていないか)
  • マックスウェルモデルのバネ値(直列要素では比較的大きな剛性を入れる必要あります)
  • 時刻歴解析の積分時間刻みの確認(1/5000秒から1/1000程度になっているか)
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制振ダンパーによっては、作動中の温度上昇を考慮できるモデルがありますが、採用するべきですか?

粘性・粘弾性ダンパーの減衰能力には、大きな温度依存性があります。このため、製品によっては、初期温度の指定だけでなく、作動中の温度上昇を考慮しているものがあります(例:新日鐵/住友3M 粘弾性ダンパー)。

厳密な解析では、作動中の温度上昇を考慮すべきと考えられますが、温度上昇の幅は比較的小さく、レベル2地震入力時に2~3℃上昇する程度が一般的です。

設計のための解析では、複雑な温度上昇モデルを用いた解析よりも、試解析から得られた温度上昇分を、初期温度に加える方法が好まれる傾向があります。

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剛性がフルマトリクスで与えられた建物にTMD(チューンド・マス・ダンパー)を設置したいのですが、解析可能ですか?

建物部分をマトリクス入力し、TMDを任意層間バネで結べば解析可能です。任意層間バネには高減衰積層ゴム型なども使用可能です。

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斜めブレース取り付け型のオイルダンパーは、マックスウェル要素でモデル化すると聞いたのですが、具体的にはどのようにモデル化するのですか?

オイルダンパーの仕様(減衰係数=C1、リリーフ荷重=Q1、リリーフ後の減衰係数=C2、静的剛性=Kd)と取り付けブレースの長さ(=L)と断面(A)、および、ブレースの角度(=θ)が揃っていれば、以下のようにマックスウェルモデルに置換することができます。ただし、付帯柱の鉛直剛性を無限大と仮定していることに注意してください。

  • マックスウェルモデルの減衰係数 Cm=C1×(cosθ)^2
  • マックスウェルモデルのバネ定数 Km=(Kd×Kb)/(Kd+Kb)×(cosθ)^2
  • リリーフ後減衰係数低下率 α1=C2/C1
  • マックスウェルモデルのダッシュポットのリリーフ荷重 Qm1=Q1×cosθ
  • ここで、取り付けブレースのバネ剛性 Kb=EA/L
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曲げせん断棒(壁)のモデルに、任意層間バネ(SPRN)を取り付けた場合、任意層間バネの層間変形は曲げ変形を含んでいるのですか?具体的にはどのようにモデル化するのですか?

任意層間バネは、全変形成分に作用します。このため、曲げ変形が卓越する建物に、層間履歴ダンパとして任意層間バネを用いると、ダンパの効果を過剰に評価してしまう危険性があります。

履歴ダンパーを扱う際には、荷重増分解析モデルに全て含めてしまう方法が確実だと思われますが、ダンパと躯体の構造形式が異なる場合、 および、高次モードが卓越する場合にやや問題があります。 RC造の建物に低降伏点鋼ダンパを入れる場合などのように、ダンパの降伏と躯体の降伏のタイミングが大きく異なる場合には、単一の復元力特性タイプを適用すると、ダンパの効果を正しく評価できなくなります。

このような場合には、増分解析時のダンパのQ-δ関係を調べて、曲げ変形による見かけの性能低下を考慮した上で、任意層間バネのスケルトンカーブにモデル化する方法がよく採用されます。

また、増分解析時の曲げせん断成分の比率をあらかじめ求めておいて、ダンパの性能をこの比率で低減する方法もあります(次項目参照)。一方、高次モードが卓越する場合には、動的に分離する必要がでてきます。

新開発の「Resp M+」では、曲げせん断棒のせん断成分に複数の復元力特性を適用でき、さらに曲げせん断分離要素も用意していますので、動的に分離する際の有効な手段になります。

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粘性制震壁に関して、支持剛性付きのタイプ(制振要素タイプ7番)が用意されているのはなぜですか?

粘性制震壁の設置方法に関して、スパン全長に渡って柱・梁にがっちり取り付ける場合にはあまり問題にならないのですが、間柱状に取り付けるような場合には、梁の曲げ変形によって変形・速度の伝達ロスが生じ、見かけ上の性能低下が発生します。

このような現象を考慮できるのが「支持剛性付き粘性制震壁」になります。

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各階に設置するタイプの制振ディバイスの解析では、曲げとせん断の分離を行う必要があると聞いたのですが、どうすればよいのですか?

各階に設置されたダンパーは、設置階より下階の曲げ(転倒)変形によって生じる層間変位(速度)には作用しません。下階の曲げによる変形は、ダンパーから見た場合には、剛体変形と考えられるためです。

しかし、RESP-M/IIで扱う単純な串団子形の振動解析モデルでは、振動方程式の上でせん断速度だけを取り出すことは出来ないため、曲げの成分にもダンパーが有効になってしまいます。

計算方法としては、せん断変形からせん断速度を逆算することも可能ですが、このような方法によってせん断変形量を算出しても、実際の計算では高次モードの影響を大きく受けてしまい、安定的にダンパー速度を求めることができません。

このため、最もダンパーの効果が大きくなる1次モードの変形状態(あるいは1次設計時の変形状態)で、曲げとせん断の比率をあらかじめ算出しておき、その比率でダンパーの性能を下げておくという方法で対処することになります。

以下のようなフォークトモデルの低減方法が提案されていますので参考になると思います(石井他「粘弾性型制振部材を適用した構造骨組の地震応答評価に関する研究 その2.制振部材の実効変位に着目した解析モデルの検討、日本建築学会大会学術講演梗概集、1999年、21507番)。

C'=C×α^2
K'=K×α×root(1+(1-α^2)×β^2)
ここで、α=(せん断変形/全体変形)
β=ω1×C/K
ω1=建物の1次周期角速度 [rad/sec]

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屋上にTMDを設置する予定でいるのですが、TMDのストローク不足のため、ある変位以上になるとストッパーが作動します。これはどのように解析に反映すればいいのですか?

逆行型のような単純な復元力特性では、ハードニングを設定することができます。

バイリニア標準型と並列バネとして組み合わせることで、ストッパー作動時の急激な抵抗力上昇を考慮することが出来ます。

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複素固有値解析は何に使えるのですか?

通常の固有値解析では、減衰項をゼロとした振動方程式を扱いますが、複素固有値解析では、減衰項を含んだ振動方程式を扱います。複素固有値解析では、減衰項が変位・加速度と比べて、位相が90度ずれるため、複素数表現を導入していることが特徴になります。

複素固有値解析を行うと、減衰を含んだ振動系の固有値を知ることができるばかりでなく、モード別減衰定数が知ることができます。具体的には、ダンパーを入れることによって、建物が硬くなっていく様子をとらえること、さらに振動モード別の減衰定数を知ることが出来ます。

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