累積型は瞬間減衰係数と増分速度の積を累積したものをそのステップの減衰力とし、非累積型は瞬間減衰係数とそのステップの速度の積をそのステップの減衰力とします。数式で表すと以下のようになります。
累積型 : F=Σ(C(t)ΔV)
非累積型 : F=C(t)(ΣΔV)=C(t)*V
F:減衰力 C:減衰係数 ΔV:増分速度 V:速度 t:時刻
それぞれの特徴は以下の通りです。
【数式的解釈】
・初期剛性時
F=C1・ΔV1+C1・ΔV2+…+C1・ΔVn
C1:初期剛性に対する減衰係数 C2:剛性変更後の減衰係数
⇒ 剛性変更後も減衰力は連続的。
【数式的解釈】
・初期剛性時
F=C1(ΔV1+ΔV2+…+ΔVn)
・剛性変更後
F=C2(ΔV1+ΔV2+…+ΔVn+ΔVn+1+ΔVn+2+…)
C1:初期剛性に対する減衰係数 C2:剛性変更後の減衰係数
⇒ 剛性変更後に減衰力が大きく変わる可能性がある。
減衰係数の評価時に剛性に乗じる係数およびその係数の計算に関わる減衰定数をどのように扱うかに違いがあります。
α1一定は剛性に乗じる係数α1を剛性変更に関わらず一定とします。このとき減衰定数h1も一定です。
h1一定は剛性に乗じる係数α1を剛性変更に伴い変化させます。このとき減衰定数h1は一定とします。
[C] = α1 [S] ([C]:減衰マトリクス [S]:瞬間剛性マトリクス)
α1=2h1/ω1 (h1:減衰定数 ω1:固有円振動数)
指定した減衰定数h1と固有周期T1(ω1=2π/T1)からα1を求めて、
これを瞬間剛性に乗じて時々刻々の減衰力を計算します。
このα1については剛性変更が生じても一定とします。
[C] = α [S] ([C]:減衰マトリクス [S]:瞬間剛性マトリクス)
α=2h1/ω (h1:減衰定数 ω:固有円振動数)
ω=ω1×√({u}T [S] {u} / {u}T [S1] {u})
(ω1:1次固有円振動数 {u} 1次固有ベクトル [S1]:初期剛性マトリクス)
「α1一定」と同様に、減衰定数h1に関しては指定された値を使用しますが、 ωについては瞬間剛性を考慮して求めたものを使用するため 剛性項に乗じる係数αについても塑性化による建物周期の伸びを考慮した計算となります。 このため、「α1一定」と比較して減衰が大きくなる傾向にあります。
参考文献:梁川幸盛ほか「地震応答解析における瞬間剛性比例型減衰についての考察」、日本建築学会大会学術講演梗概集、2004