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研究活動

センシングと構造解析を活用した構造保全技術

高度成長期に建設された多くの構造物が一斉に設計上の耐用年数を迎えようとしています。そこで、構造物の劣化の進行具合をより正確に把握することが求められています。

そこで今日、構造物の維持管理を目的とした構造ヘルスモニタリング(SHM)の有用性が注目されています。しかし、SHM導入に当たって、加速度、変位、歪みと言った実測情報のみで、有効なデータであるかどうかの識別や、現状の把握、劣化の予測を行うことは困難です。

一般に「実測データ」と「構造解析」をセットにして、評価データとして信頼度を高めることが行われます。SHMにおいては「実測=Real」と「構造解析=Virtual」は双対関係をなしており、実測データの信憑性を裏付けるための構造解析結果が存在し、その解析結果の信憑性を担保するためにまた、実測データが存在するといった関係にあります。

弊社におきましては、「実測=Real」と「構造解析=Virtual」の両方に即したソリューションを開発すべく、研究を重ねております。

川根大橋FBGセンシング事例

川根大橋(茨城県東茨城郡 1スパン22m×6スパン全長130m・RC造)を対象橋梁として、分布型ロングゲージFBGセンサにより測定し、動的分布ひずみ情報を用いて、橋梁の健全性評価システムを構築した事例です。本橋梁は供用後44年以上が経過しており、局部的には遊離石灰の発生といった軽微な損傷は見られますが、構造性能に影響するような大きな損傷は生じていません。

川根大橋FBGセンシング事例 1

自動車の走行や環境振動により発生している動的な分布ひずみ情報をFBGセンサにより収集し、構造解析結果との比較により構造的な劣化状況を迅速かつ簡便に評価できるシステムを構築しました。

川根大橋FBGセンシング事例 2

川根大橋FBGセンシング事例 3

バスによる橋梁モニタリング事例

山口大学社会基盤メインテナンスエ学研究室の宮本文穂(みやもとあやほ)教授らのグループと協同で、重量約8tの路線バスを橋梁の異常を検知するモニタリングに利用する研究を2006年から行っています。

研究はバスの振動と橋梁の振動の相関関係、橋梁の損傷有無によるバスの振動への影響、路面の凹凸条件、走行速度に影響の少ない異常検知パラメータの抽出などを、解析、模型による実験、およびバスを貸し切っての実験などにより行い有用な結果を得ました。

宇部市の橋梁を通過する宇部市交通局バス

宇部市の橋梁を通過する宇部市交通局バス

現在、宇部市土木建築部道路河川建設課、宇部市交通局の協力によって路線バスに振動計測装置を積載し、約1年間にわたりそのバスが通過する12カ所の振動計測を行う橋梁モニタリング実証実験を実施しております。この実験により、データ収集方法、速度の自動推定、計測・分析の開始のタイミング技術の開発、装置の寿命、対面通行等の影響、および適用範囲の把握などの課題解決を図り、実験終了時には実用可能なシステムとして公開する予定としております。

ニュースリリース

2010年12月3日
宇部市営バスによる、橋梁モニタリングシステム実用化に向けた世界初の実証実験開始~構造計画研究所と山口大学共同研究の橋梁異常検知システムが最終段階~(PDF,180KB)


2012年4月6日
路線バスを利用した中小橋梁の簡易健康診断を実施~山口県宇部市での実証実験の結果を発表~(PDF,548.8KB)

E-ディフェンスのブラインド解析コンテスト 2部門で最優秀チームに

独立行政法人防災科学技術研究所が実施しました、E-ディフェンス震動台による鉄骨造建物実験を対象としたブラインド解析コンテストに、弊社の構造設計部門と解析部門メンバーによるチームで参加し、4部門中 2部門において最優秀チームに選ばれました。

コンテストの対象となった鉄骨造建物

コンテストの対象となった鉄骨造建物

コンテストに使用したプログラムは、弊社が開発・販売している汎用耐震解析プログラムRESP-F3Tです。今回の結果により弊社技術者の優秀さと共に、ソフトウェアの信頼性の高さが実証されました。

コンテストの内容: http://www.bosai.go.jp/hyogo/blind-analysis/2008/index.html

審査結果: http://www.bosai.go.jp/hyogo/blind-analysis/2008/kekka/2009BA_j.pdf

今回の解析では、対象建物のモデル化の精度を上げること、特にダンパーのモデル化精度向上に配慮しました。詳細は、東京工業大学都市地震工学センター(CUEE:Center for Urban Earthquake Engineering)主催の第7 回都市地震工学国際会議(2010 年3 月)の特別セッションにおいて発表する予定です。

ニュースリリース

2009年12月10日
E-ディフェンスのブラインド解析コンテスト2部門で最優秀チームに選ばれる ~ 4部門に延べ8カ国52チームが参加、実大5層鉄骨造制振骨組の実験と解析を比較し解析精度を競う。 ~(PDF,224KB)

書籍「地震時の構造不安定とその照査法」のご紹介

 九州大学大学院の大塚久哲教授と弊社の共著書籍「地震時の構造不安定とその照査法」が、九州大学出版会から出版されました。 支間長数百メートルクラスの長大アーチ橋の地震時挙動を、振動中の座屈の危険性まで明白に考慮して解析的に評価したいという動機からスタートし、振動台実験や解析手法の提案と検証などを継続してきた成果をまとめたものです。

地震時の構造不安定とその照査法

地震時の構造不安定とその照査法

  • 著者
    大塚久哲(九州大学大学院教授)
    為広尚起(㈱構造計画研究所・工博)
  • 出版社 :九州大学出版会
  • 定価 :3,800円(税別)
  • 目次
    1 構造物の動的不安定
    2 動的構造不安定の定量評価指標
    3 実験による検証
    4 増分形式座屈固有値解析による地震時座屈照査手法
    5 座屈前後の状態評価
    6 適用事例
    7 本書のまとめと今後の展望

概要

 本書のテーマは,「振動している構造物が不安定状態に陥る危険性を,非線形解析によって定量的に検証すること」です。
 動的な構造不安定には、いくつかの異なる種類の現象がありますが、本書では主に座屈現象に着目しています。さらに振動中の構造物の座屈は、目立った余兆もなく突然発生し、急激な崩壊を招く恐れがありますが、本書は発生後の崩壊過程を明らかにすることよりも、発生前の余兆を掴むことに重点をおいています。

 振動中の座屈の余兆は、点検などの機会に人間の五感で察知しにくいのもさることながら、数値解析で評価する場合も、多くはある外力下で座屈するかしないかの判定に止まっており、(特に動的問題としては)明瞭には評価されていませんでした。
 設計した構造物が地震時に座屈しないか心配になって、そのような判定計算を行い、「この構造物はこの地震動を受けても座屈的な現象は何も起こさなかった」という結果を得たとします。それでその地震波に対して安全性能を満たしていると安心できるでしょうか?ギリギリで座屈しなかったのかも知れません。何か起こってもおかしくない不安定状態に陥りながら、たまたま何も起きないまま安定状態に移ったのかも知れません。そもそも「座屈的」な現象と判定するのも解析結果から評価者が定性的に行うことなので、人によってバラつきがあるかも知れません。

 発生していない状態での座屈の危うさを示すインジケーター(定量評価指標)があれば、これらを解決できるとの着想から、振動台実験やプログラム改造も交えて検討を行った結果、時々刻々求める「増分形式の座屈固有値」により、振動中の座屈危険性の変化を下図のように示すことを提案するに至りました。この検討経緯や手法の提案、適用事例などを本書では詳細に述べています。

地震時の座屈危険性を時刻歴で表示

地震時の座屈危険性を時刻歴で表示
(矢印が最危険時刻ですが、発生までは余裕があることを示しています)

関連ソフトウェア

構造工学シンポジウム論文賞受賞

第51回構造工学シンポジウム論文賞(土木学会)を受賞することになりました。

タイトル 低摩擦すべり支承を有する連続桁橋の耐震性に関する一考察
掲載 構造工学論文集Vol.51A(2005年3月)
執筆(敬称略)
  • 大塚久哲(九州大学大学院教授)
  • 田中弘紀(オイレス工業)
  • 横川英彰(オイレス工業)
  • 金山亨(構造計画研究所)
  • 清水晋作(九州大学大学院)
  • 夏青(九州大学大学院)

RESP-Tで長く取り組んでいたテーマが、共同執筆者のご指導・ご協力の下、大きな成果に結びつくことになり、高く評価されるに至りました。

論文中の滑り支承のモデル化では、滑り支承を剛性部材としてモデル化せず、力の釣り合いのみに着目して振動方程式に組み込む方法を提案しています。
この方法により、数値積分の安定性や剛性比例型の減衰の問題も同時に解決できるなど、多くの点において有効性の確認ができました。

本機能はRESP-Tの標準機能として順次公開される予定です。

構造工学シンポジウム論文賞受賞

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