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2014/12:ポストTPPの酪農経営戦略

    こんにちは、Crystal Ball ニュースレターです。
    今月号では、活用事例のご紹介として、
    一般社団法人生物資産流動化研究所・細谷賢治様の
    「ポストTPPの酪農経営戦略」をご紹介いたします。
    統計学コラムは、いよいよビール工場から生まれた分布についての核心に迫ります。
    				

目次


1. コラム: 活用事例のご紹介 ~ポストTPPの酪農経営戦略~

    ▼はじめに
    「TPP:環太平洋戦略的経済連携協定」については、
    ニュースでその言葉を聞く機会も多いかと思います。
    TPP交渉が進展し合意がなされると、日本の様々な産業に大きな影響を及ぼします。
    既に低価格化に伴う生産事業者の減少が問題になっている酪農も、
    TPPの影響を大きく受けることが予想されています。
    そこで、ポストTPPの酪農経営戦略を「生乳生産」に着目し、
    「産地機能分化」「経営機能分化」の2つの優位性をCrystal Ballで解き明かします。
    
    ▼課題と戦略
    TPP合意における酪農経営体の課題を
    「自由化に備えた国際的に妥当性のある、または、乳製品向け生産に対応した生産コスト構造の実現」
    とすると、軸となる1つの経営戦略として
    「本業回帰:生乳生産特化」
    が浮かび上がります。
    すると、設備は搾乳施設・畜舎に、飼養する乳牛は成牛のみになり、
    それ以外の仔牛育成や食餌製造は外部経営資源を状況に応じて利用することになります。
    
    ここからさらに酪農経営体の業務活動を
    ① 地域やネットワークといった産地という地域単位で行う
    ② 法人やグループなどの経営体単位で行う
    の違いで2つの戦略を立案します。
    ①の戦略を「産地機能分化」、②の戦略を「経営機能分化」と定義します。
    
    この考え方を図に表すと下図になり、
    「産地機能分化」「経営機能分化」の違いは表の通りです。
    
      cbmm201412_1.png
      cbmm201412_2.png
    ▼モデル化 まずは想定する経営概要を以下に示します。
      cbmm201412_3.png
    2つの戦略の共通点は ・生乳生産の業務活動に経営資源を集中する ・それ以外の業務活動には可能な限り外部資源を活用する の2点です。 一方で2つの戦略で違いとなるのは「外部経営資源の活用方法」です。 産地機能分化戦略は、酪農を地域が主体となり産業課し、その周辺も地域で支える経営モデルです。 小規模の家族経営形態を前提に、酪農経営を行う上での 地域の基本的な酪農インフラを整備し、周辺産業も地域で支えます。 他方の経営機能分化戦略は、グループ企業体が発展することで酪農を産業化する経営モデルです。 地域の中小企業のように 連結企業体として成長していく形態です。 成長の過程で経営資源の拡充に伴った業務活動の内製化を行います。 それぞれの経営戦略の優位性は、 乳牛の個体単位の損益分岐点売上高を算出して比較します。 各項目の定義は以下の通りです。
      cbmm201412_4.png
    この定義に従ってシミュレーションモデルを作成します。 各項目の分布形状やパラメータは、モデル内の「前提」シートをご覧ください。 >>モデルダウンロード ▼シミュレーション結果と結論 モンテカルロ・シミュレーションを行った結果を下図に示します。 シミュレーション回数は10,000回に設定しました。 ここでは予測グラフのメニューにある「プリファレンス」から ・「グラフ」→「軸」タブ→「尺度」のタイプを「パーセンタイル」 に変更して表示しています。 同様に、「グラフ・タイプ」より平均値と中央値の軸を追加しています。
      cbmm201412_5.png
      cbmm201412_6.png
    2つの予測グラフで指標としている691,600という値は、 北海道における損益分岐点売上高です。 この損益分岐点売上高より小さい部分の割合が高ければ高いほど、 優位であることを表します。 また、2つの経営戦略の重ねグラフを見ると、 経営機能分化戦略の方が山が左にあることがわかります。 以上より、本モデルでは経営機能分化戦略のほうが、 損益分岐点の比較から有意であることがわかります。 経営資源の外部化は変動費を増加させる方向に働くため、 損益分岐点売上高を下回る確率が高いほど費用増加への耐性が強いと言えます。 ▼御礼 本論文のニュースレターへの掲載を許可してくださり、 またシミュレーションモデルのご提供までご快諾いただいた 一般社団法人生物資産流動化研究所・細谷賢治様には深く御礼申し上げます。 また、本論文が掲載されている「畜産の研究」を出版している養賢堂の皆様には、 この場を借りて深く御礼申し上げます。 ▼出展 畜産の研究 第68巻・第7号 ~ 第69巻・第1号 (一社)生物資産流動化研究所 細谷賢治 著 「ポストTPPの酪農経営戦略」

2. 統計学コラム ~第12回:ビール工場から生まれた分布 最終回~

    前回の統計学コラムでは、χ(カイ)二乗分布についてご紹介いたしました。
    正規分布に従う母集団から取り出した標本に関する標本分散は、このχ二乗分布に従うというのが結論です。
    
    ところが、χ二乗分布の式
    
      cbmm201412_7.png
    にはcbmm201412_8.pngが含まれており、結局仮定した母分散を使用しているという問題点は解決していません。 元の問題は「その標本が本当に正規分布に従っているのかを調べたい」ということでしたので、 正規分布に従っていると仮定して使用しているcbmm201412_8.pngを、別の一般式に含めるのは望ましくありません。 では、標本分散cbmm201412_9.pngを使うことはできないのでしょうか。 ひとまず無理矢理標準化の式にcbmm201412_9.pngを当てはめて、以下の式を定義します。
      cbmm201412_10.png
    この式で定義された値tはスチューデントのt統計量と呼ばれているもので、 標準化を行った時に出現するZとは異なり、標準正規分布には従っていません。 このt統計量は、さらに以下のように変形することができます。
      cbmm201412_11.png
    ここで、 ・Zは標準正規分布に従う ・Yはχ二乗分布に従う という特徴があります。 tが従う確率分布をスチューデントt分布と呼び、 n-1の数が30以上になると標準正規分布とほとんど変わらない形になります。 t分布を用いると、t分布表からその事象が本当に起こるかどうかを確かめることができる、 t検定を実施することが可能になります。 t検定についてはMinitabのニュースレターに開設の場をゆずることにして、 今月号の内容はここで締めたいと思います。 ■Minitabニュースレター:t検定って何? そういえば「なぜビール工場なのか」という疑問にお答えしていませんでした。 この「スチューデントのt」という値は、ビール工場に勤める社員が考案したものなのです。 「スチューデント」という名前は、当時ビール工場で論文の執筆・投稿が 認められていなかったことから執筆者がつけた仮名で、 実際の考案者の名前はウィリアム・ゴセットといいます。 ※本コンテンツは ・東京大学教養学部統計教室 編集「統計学入門 (基礎統計学) 」 を参考にしております。

3.年末年始休業のおしらせ

    誠に勝手ながら、下記期間のサポートやその他のお問い合わせへのご対応をお休みさせていただきます。
    
    ■ 2014年12月26日(金)12:00 ~ 2015年1月5日(月)9:00
    
    新年は2015年1月5日(月)より平常通り営業いたします。
    期間中は何かとご迷惑おかけいたしますが、何卒ご了承くださいませ。今後ともよろしくお願いいたします。
    				

4. 編集後記

    今年1年無事にニュースレターを毎月発行することができました。
    お読みいただいた皆様に深く御礼申し上げます。
    特に編集後記は書いている担当者の嗜好?により、
    サッカーや鉄道、ポルトガルといった偏った内容になってしまいましたが、
    お楽しみいただけましたでしょうか。
    
    編集後記の偏り具合とは異なり、今年も様々なニュースがありました。
    1年を象徴する漢字でも取り上げられた「税」に関する話題や、
    土砂崩れや火山噴火に象徴される自然災害などの暗いニュースから、
    スポーツ界における若手の活躍や青色LEDのノーベル章受章という明るいニュースなど、
    1年を通じて大きなニュースが次から次へと報道されました。
    特に今年は、デジタルデバイスやSNSの普及に伴って
    映像や画像がニュースと共に瞬く間に広まった印象があります。
    
    Crystal Ballもこれくらい瞬く間に広まり、
    社会の中でよく知られたツールになればよいのですが、
    そこはまだまだといったところです。
    まずは
    「Crystal Ballを使い始めたことが今年一番のニュース」
    と評価していただけるように、
    webコンテンツを拡充し情報の発信を引き続き行ってまいります。
    
    今年もたくさんのユーザー様とお話しする機会や
    メールでやり取りをする機会に恵まれました。
    様々なご意見をいただき大変感謝しております。
    今年1年誠にありがとうございました。
    新年も何卒よろしくお願い申し上げます。
    				

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