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2013/8:今年の夏は本当に異常か?


目次


1. コラム: 今年の夏は本当に異常か?

    2013年8月12日にある日本記録が生まれました。
    高知県四万十市の江川崎のアメダスで、最高気温41.0℃を記録し
    2007年に岐阜県多治見市と埼玉県熊谷市で記録した40.9℃を塗り替えました。
    
    世間では連日のように「今年の夏は異常」と言われておりますが、
    果たして本当にそうなのでしょうか?
    最高気温だけ見れば確かに非常に高い値を示していますが、
    過去のデータとの比較はあまり行われていないような印象を受けます。
    
    そこで本コラムでは「今年の夏は本当に異常なのか」を
    Crystal Ballを用いて分析してみようと思います。
    Crystal Ballには既存のデータを用いて確率分布を定義できる
    「分布の適合」と「時系列分析」という強力なツールがあります。
    今回はこれらのツールを用いて、実際に高知県土佐清水市のアメダスのデータをもとに
    今年の夏が過去のデータと比較してどれだけ逸脱したものかを調査します。
    モデルは以下のURLからご利用ください。
    ・Excel2003以前の方Excel2007以降の方
    
    またCrystal Ballの試用版はこちらからお申し込みください。
    
    
    さて、いよいよ分析を行います。
    以下に手法の詳細を記載いたします。
    
    
    ステップ1.実際の過去の気象データを用意する
    
    気象庁ホームページの
    
    ・気象統計情報
    ↓
    ・過去の気象データ検索
    
    から参照することができます。
    https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php
    
    ここからアメダス「高知県 清水」を選択し、右側メニューの
    「観測開始からの月ごとの値」
    をクリックします。
    ここから「日平均気温」と「日最高気温」というメニューを選択すると、
    毎年の月毎の平均値を取得することができます。
    ここで注意したいのは、これらのデータはあくまで月平均値であるということです。
    今回はこの2種類のデータの中のから8月の値を用います。
    データはモデルの2つのシート、
    「日平均気温の平均値」と「日最高気温の平均値」に格納されています。
    
    
    ステップ2.データをグラフ化する
    
    データをグラフ化してみます。
    今回は観測を開始した年から2013年までのデータをグラフ化します。
    グラフはモデル中の「分析シート」に表示します。
    グラフ化する際に「日最高気温の平均値」の1940年のデータが
    欠落していることに注意してください。
    
    
    ステップ3.分布の適合と時系列分析を用いて仮定を定義
    
    ここでCrystal Ballの機能である「分布の適合」と「時系列分析」を用います。
    過去のデータから平均気温と最高気温がどれくらい変動するのかを予測しましょう。
    分布の適合は過去のデータをそのまま確率分布に当てはめる機能です。
    それに対し、時系列分析は過去のデータのパターンを延長して
    未来のデータがどのように変動するかを予測する機能です。
    簡単に違いを述べるとすれば、
    ・分布の適合は過去のデータの値そのものを参考にする
    ・時系列分析は地球温暖化のような傾向も参考にする
    といったところでしょうか。
    
    まずは分布の適合を使用してみます。
    以下が手順です。
    
    
    ステップ3-1.分布の適合を使用する
    
    ・Crystal Ballのリボンを選択し一番左の「仮定の定義」の緑の山の部分をクリック
    緑の山の絵の部分をクリックすると、分布の形と名称がウィンドウの中に表示されます。
    今回は「分析シート」のセルC38に平均気温の確率分布を、セルC40に最高気温の確率分布を定義してみます。
    
    ・右下の「分布の適合(F)」をクリック
    ここをクリックすると、過去のデータからもっとも当てはまりの良い確率分布を自動計算します。
    
    ・データの範囲を設定する
    分布の適合をクリックすると、データの範囲を聞かれます。
    C38のセルを選択した状態で行う分布の適合では、「日平均気温の月平均値!B2:B74」と、
    C40のセルを選択した状態で行う分布の適合では、「日最高気温の月平均値!B2:B74」と指定します。
    このデータ範囲ははそれぞれ平均気温の過去データと最高気温の
    過去データの参照する部分を表しています。
    
    ・適合のセッティングを行う
    データ範囲の下にあるラジオボタンの設定を行います。
    詳細は省略いたしますが、ここでは左の「適合分布」を「全て連続分布」に、
    右の「適合度の順」を「自動選択」に設定します。
    設定が終わったらOKを押し、C38とC40のセルが緑色になれば設定完了です。
    
    次に時系列分析を使用します。
    
    
    ステップ3-2.時系列分析を使用する
    
    ・分析対象のデータを選択
    まず「日平均気温の平均値」のシートのB1からB74を選択します。
    「日最高気温の平均値」においてもセルの選択が必要になりますが、
    1940年のデータが欠落しているため、そのままでは使用できません。
    そこでPredictor用のデータを新しく用意します。
    「日平均気温の平均値」のシートではE2からE74を選択してPresictorを実行します。
    
    ・時系列分析の実行
    Crystal Ballのメニューの中の「ツール」→「Predictor」を選択します。
    Predictorを選択した後、今回はそのまま右下にある「実行」をクリックします。
    すると用いたデータの分布と適合結果が表示されます。
    Crystal Ballの中にはいくつかの適合手法が内蔵おり、
    Predictor機能では自動的に最適な手法を選択してくれます。
    この時系列分析した結果を仮定として反映させるために、
    右側の「予測期間」を1に設定しペーストをクリックします。
    ここで予測期間を1に設定するのは、分析結果を反映させるのが2013年1つだけであるためです。
    
    ・ペーストする対象セルを選ぶ
    「日平均気温の平均値」に対する時系列分析の結果をC39に、
    「日最高気温の平均値」に対する時系列分析の結果をC41にペーストするように指定します。
    「分析シート」のC39とC41が緑色に変わっていれば完了です。
    
    
    ステップ4.仮定同士の相関を定義する
    
    平均気温と最高気温には相関があると考えることができます。
    相関を考えずにシミュレーションを実行すると
    “平均気温は平年より低いのに、最高気温は高い”
    といった値を示す場合があります。
    このような結果を避けるため、仮定同士に相関を定義します。
    
    相関を定義するためには、緑色になっているセルを選択し
    もう一度「仮定の定義」の緑色の山をクリックします。
    クリックするとそのセルに対応した仮定のグラフが出てきますが、
    これには触れずに右下にある「相関」をクリックします。
    
    立ち上がったウィンドウから仮定間の相関を定義することができます。
    例えば、セルC38に定義した「日平均気温の平均値(分布の適合)」の仮定は
    同じく分布の適合を用いている「日最高気温の平均値(分布の適合)」
    の仮定(セルC40)と相関があると考えることができます。
    選択で「日最高気温の平均値(分布の適合)」にチェックを入れて、
    下のグラバーもしくはセル参照で相関係数を設定します。
    今回、相関係数は過去のデータから計算できるので、セル参照をクリックして
    「=CORREL(日平均気温の平均値!B2:B74,日最高気温の平均値!B2:B74)」
    と入力し下の決定とOKをクリックします。
    これで相関を定義することができました。
    
    以上の作業をセルC39とセルC41にも実行します。
    時系列分析を用いた仮定にも相関を定義するためです。
    
    
    ステップ5.予測を定義する
    
    Crystal Ballの肝でもある予測を定義します。
    今回は分布の値をそのまま予測セルに設定し予測を定義させています。
    例えば「日平均気温の平均値(分布の適合)」という予測では、
    C38の値をそのままD38に反映させています。
    
    
    ステップ6.「どれくらい異常か」を出力する
    
    シミュレーションの結果から定量的に判断するため、
    今回は信頼度を見てみましょう。
    ある値に対する信頼度は
    「CB.GetCertaintyFN(予測セル,値)」
    というCrystal Ball固有の関数で出力することができます。
    この関数は
    “予測の中において、「値」以下になる確率”
    を出力します。
    今回分析するのは「どれくらい異常か」ですから、
    100%からCB.GetCertaintyFN(予測セル,値)を引きます。
    引数の「値」に気象庁データから求まった2013年の値を入力すれば、
    どれくらい今年の夏がどれくらい異常かということを定量的に見ることができます。
    
    
    ステップ7.分析する
    
    10000回モンテカルロ・シミュレーションを行った結果、
    2013年8月の平均気温が起こる確率は
    分布の適合を用いた場合は0.10%、時系列分析を用いた場合は1.76%となりました。
    平年の平均気温と比較して、2013年はほとんど起こらないような
    高い気温をしてしていることがわかります。
    また最高気温においては、分布の適合で0.00%、時系列分析で0.15%となりました。
    最高気温は平均気温よりもさらに特異に高い温度であるということができます。
    以上から今年の夏が如何に異常かを感じることができると思います。
    
    ■
    
    以上、非常にボリュームがありますが丁寧に書かせていただきました。
    本モデルで使用した「分布の適合」と「時系列分析」はCrystal Ballの中でも非常に強力なツールです。
    これを実際にエクセル上でマクロを組んで実行しようとすると非常に骨が折れます。
    しかし、Crystal Ballを用いれば一瞬にして設定をすることができるのです。
    
    また、モデル上では最高速モードでシミュレーションを行っておりますが、
    実行プリファレンスから「スピード」→「デモモード」を選択して
    シミュレーションを行うとグラフ上の値の変化を見ながらシミュレーションを行うことができます。
    ただし10000回実行すると多大な時間を要するので注意が必要です。
    				

2. 論文割引がスタート

    去る8月15日より、Crystal Ballの論文割引がスタートいたしました。
    対象は
    ◆学生及び学校関係者で大学などの教育機関に勤務している方
    ◆論文を作成し学会発表および学会誌掲載する方
    です。
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3. アップグレードキャンペーン 復活!

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4. セミナーのご案内

    8月に開催されたセミナーも大盛況のうちに終了いたしました。
    皆様のご来場を心より御礼申し上げます。
    
    弊社では9月以降もたくさんのセミナーを実施いたします。
    皆様のお越しを心よりお待ちしております。
    また、下記日程でご都合がつかない場合は
    弊社より貴社にお伺いすることも可能です。
    お気軽にご相談くださいませ。
    
    
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    ・東京会場(新中野)
    2013年8月28日(水) 14:00~16:00
    
    
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    ・東京会場(新中野)
    2013年9月13日(金) 14:00~16:00
    
    ・大阪会場(本町)
    2013年11月6日(水) 14:25~15:35
    
    ・名古屋会場(伏見)
    2013年9月13日(金) 14:25~16:25
    
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    ・スタンダードコース
    2013年9月17日(火)10:00~17:00
    
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    ・東京会場(新中野)
    2013年10月25日(金) 10:00~18:00
    
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5. Crystal Ball事例ページのご紹介

    弊社ではCrystal Ballをより皆様にご理解いただくため、
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    ぜひこの機会にご覧いただければ幸いです。
    
    https://www4.kke.co.jp/cb/#Feature
    				

6. 編集後記

    今回のコラムは今年の厳しい暑さを対象に作成いたしました。
    毎年毎年「異常だ異常だ」と言われると暑さに対する感覚も鈍ってくるのかな、
    と思って分析してみると、やはり異常な暑さだということがわかりました。
    もっとも、1地点しか分析していないので様々な地点で行ってみると面白いかもしれません。
    例えば暑さ日本一を奪われてしまった埼玉県熊谷市とか・・・
    
    ニュース等を読むと、どうやら暑いのは日本だけでなく世界も同じなようです。
    ただ日本やアジアのジメジメとした暑さと比較すると
    ヨーロッパの暑さはカラッとしていて過ごしやすいのかなとも思っております。
    ご興味があれば世界の天気をご覧いただき、
    湿度をチェックしていただければと思います。
    ちなみにポルトガル共和国の首都リスボンの夏は乾燥しておりました。
    
    いずれにせよ、早く暑さが収まって過ごしやすい季節になってほしいなぁ、
    というのが正直な感想です。
    皆様におかれましても、食欲の秋までに体調を崩されませんよう
    お気を付けくださいませ。
    				

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