RESP 建築構造解析プログラム

静的増分解析から得たQ-δ関係の評価

~ハードニングが発生する原因~

 質点系による解析を行う際に荷重増分解析のQ-δ関係から層の復元力特性を作成しようとすると、稀に変形が進むと剛性が上がる現象 (ハードニング)が発生している層があり、扱いに困ることがあります。ハードニングについては様々な要因が関係するため、原因を 特定することが難しい現象ですが、その要因にも繋がる、Q-δ関係の評価が難しい例を3つほど紹介します。

① ねじれ変形によるδの評価

ブレースのモデル化で注意していただきたいのは初期応力の考慮の仕方です。RESP-Dでは長期荷重時の応力を初期応力としてモデルに 作用させた状態で振動解析を行います。この初期応力には長期荷重時の弾性解析結果を用いるのですが、長期荷重時に部材が非線形領 域に達してしまう場合には意図しない解析になることがあります。

例としては特定の構面にブレースが組み込まれ、該当構面の変形が代表節点よりも小さい場合にブレースの構面の剛性が見かけ上小さく 集計されてしまいます。このとき、周辺部材や別の層の同一構面内で部材が降伏してブレースの構面の変形が代表節点の変形に近づいた場合、 過小評価していたブレース構面の剛性を正しく集計できるようになり、結果としてハードニングが生じてしまいます。

② ブレースのせん断力集計によるQの評価

層のせん断力を集計する際にはブレースに生じる軸力を水平力に置換して集計することとなります。ただし、ブレース材の軸力には地震荷 重等の水平力以外に長期等の鉛直方向の力も含まれているため、水平変形が生じない場合にも層せん断力が大きくなりハードニングの要因となる場合があります。

③ 平面保持を仮定できない場合の曲げ変形の評価

等価曲げせん断型として層の復元力特性を求める場合には、一般に曲げ剛性を増分解析の第一ステップにおける柱軸力と軸歪みの エネルギー関係から平面保持の仮定のもと回転角を求め、これに対応する等価曲げ剛性を計算します。ブレースが偏在した建物では ブレースの取り付く構面において軸力が集中し、釣り合いの関係からその構面において柱軸力が大きくなります。こうした構面が存在する 場合には平面保持の仮定が成り立っていないにも関わらず、無理やり平面保持を仮定するため、曲げ変形を再現しきれずにせん断変形を 過大評価してしまうことになります。このとき、ブレースが降伏すると、軸力の集中が緩和されて平面保持の仮定に近づくためハードニングが発生することがあります。

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