概要

複数の拠点候補地を定量的に評価 コストとリスクに基づいて最適な新拠点を選定

お客様は、今後の売上増加(物流の取扱量の増加)を見越して、大規模倉庫の新設と既存設備も含めた配送担当エリアの見直しを検討していらっしゃいました。

拠点の選定およびエリアの見直しには、検討すべき項目が多くあります。 そこで私たちは、新設地の候補を多目的な視点から最良のポイントを探し、さらに想定される需要の変動による物流コストへの影響を評価する仕組みをご提供し、新設地の決定と既存拠点の配送エリア見直しの支援をいたしました。また、お客様がご自身で分析を行える仕組みをご提供し、中長期的な改善をサポートしております。

課題

コストとリスクを考慮して物流拠点や配送エリアを見直したい

お客様は、今後の売上増加(物流の取扱量の増加)を見越して、物流拠点となる大規模倉庫の新設と同時に、既存設備も含め、拠点ごとの配送担当エリアの見直しを実施することになりました。 新設地は土地購入の観点から候補は絞られていますが、担当者様はそれらの地点を様々な尺度で評価した上で、物流コストが最適となる地点を決定しようと考えておられました。

土地購入や設備新設費などの初期費用は、地域によって異なりますし、運用開始後も、工場からの輸送費、大規模な倉庫間の移動費、エンドユーザ様の近くにある倉庫への輸送費、エンドユーザ様への配送費といった運用費用も、選択した地域によって異なります。また増加を想定している取扱量の変動もリスクとして考慮することが必要です。

ソリューション

ポイント1. 現状のコスト体系を可視化

私達はまず、現状における製品の流れ(工場~大規模拠点~中型拠点~配送拠点~エンドユーザ様)を整理し、それぞれの輸配送に関わるコストを整理し、年間、月間、週間単位で定量的に評価を行いました。その結果により、拠点間の移動が近年増加傾向にあることがわかり、一部、中型拠点の運用ルールを変更するきっかけになりました。 経験的には把握していた課題ではありましたが、分析によって関係者間で共有することができ、素早い見直しの動きにつながりました。

ポイント2. 現実に即したコスト構造を用いて拠点候補地を定量的に評価

次に、人口、地価、配送コストなど多目的な評価軸を階層分析法 AHP 等の数理的手法を用いることにより、地域ごとに優劣を数値化して評価いたしました。 その数値に従って、候補地についてのランキング評価をすることができ、決まりつつあった候補地についての妥当性を確認することができました。また、地域ごとに定量化された数値を元に、拠点統廃合の議論も必要なのではないか、という中長期的な課題も見つかりました。

さらには、数理計画法を用いて、大規模、中規模拠点と配送拠点を最小コストで運べる紐付けを求め、担当エリア見直しのための評価を行いました。また、担当エリアだけでなく、各拠点の能力による課題も見えてくるなど、定量的な指標をご提示することで、それまで経験的な知識であったロジスティクスに関する情報を関係者間で共有でき、様々な業務進行に役立つこととなりました。

ポイント3. シミュレーション検証によるロジスティクスシステムの評価

倉庫のような拠点の立地を変える頻度は、そう高くはありません。 しかしながら、製品の売れ行きは時々刻々と変わります。そこで私達は、お客様自身が本分析で使った指標による分析を行える仕組みを構築いたしました。 需要の変動、拠点の統廃合等のシナリオを作成すれば、そのシナリオに沿った物流コストを試算することもできるようになりました。そのため、中長期的な課題に対する解決策を検討、評価することが今までよりも行いやすくなり、物流コストを常に抑えることができるようになりました。

今後は、さらに、実車率を向上させる施策や、混載や共同配送の検討についても、定量的に行おうとされています。

物流のオペレーションズ・リサーチに関するお問い合わせ

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