1. 管理図の種類と使用方法

管理図とは、工程の過去の状態をものさしとして、現在の状況が正常か異常かを客観的に判断する有効なツールです。

管理したい特性値を、平均値、不適合品率(不良率)、あるいは、不適合数(欠点数)などの値(統計量という)で打点し、一種のグラフを書き、さらにこの打点した値の両側に管理限界という二つの限界線を引くのが特徴です。この限界線は統計量の中心値から±3σ(シグマ)のところに引き、打点が、限界点の内側にあれば、「工程は統計的管理状態」にあるとみなします。この線の外に打点されることは、1000回のうち3回程度(0.27%)しか起きないように引かれたものです。

グラフでは、その工程が正常が異常かという判断がつきにくい部分がありますが、管理図では、管理限界とその見方(異常判定のルール)によってその判断を客観的に行うことができます。また、小さな変化の兆しを機械的に探索することもできます。

これからのQC活動では、問題が発生してから対策をとるのではなく、小さな変化の兆しから問題を事前に予見し、手を打っていくことが原価低減や品質事故を未然に防ぐ上で重要なことになるといえます。


サンプルデータのダウンロード



管理図は、製造業などの品質管理の分野を中心に使われておりましたが、最近では用途が広がり、コールセンターなどサービス業の業務改善の分野にも利用されています。今回は、試供品配布数のデータ(2005/10/31から、一週間ごとに集計)を例にご紹介します。

管理図には、多くの種類があり、管理する対象、すなわちデータの種類によって、下表のように使い分けます。


データの種類と利用する管理図
データの種類 使用される管理図の種類 理論分布
計量値 長さ・重さ・時間・強さ
成分・収率・純度 など
平均値(Xbar)と範囲(R) Xbar-R管理図 正規分布
中央値(Xbar)と範囲(R) メディアン管理図
個々のデータ X管理図
計数値 不適合品率(不良率) nが一定でないとき p管理図 二項分布
不適合品数(不良数) nが一定のとき np管理図
(pn管理図)
不適合数(欠点数) 欠点の表れる範囲の大きさが
一定のとき
c管理図 ポアソン分布
単位当たりの不適合数
(欠点数)
欠点の表れる範囲の大きさが
一定でないとき
u管理図

今回の試供品配布データは、不適合品数を取っているわけではないので、計量値と考えられ、個々のデータと考えることができます。そのためX管理図を利用します。


MINITAB を利用して各管理図を表示する方法は以下の通りになります。

※メディアン管理図については、Xbarの計算が不要なので実用的で、現場で利用しやすいというメリットがありますが、Xbar管理図よりも異常を検知する力が劣るというデメリットがあります。


管理図とMINITAB 14 のコマンド
使用される管理図の種類 MINITAB 14 のコマンド
Xbar-R管理図 [統計] > [管理図] > [変数管理図 - サブグループ] > [Xbar-R]
標準偏差、移動平均も選択できます。
メディアン管理図 メディアン管理図はMINITAB 14 のコマンドにはございませんが、
中央値を求め、X 管理図を利用して求めることができます。
X管理図 [統計] > [管理図] > [変数管理図 - 個別]
移動平均、標準偏差なども選択できます。
p管理図 [統計] > [管理図] > [属性管理図] > [P]
np管理図 (pn管理図) [統計] > [管理図] > [属性管理図] > [NP]
c管理図 [統計] > [管理図] > [属性管理図] > [C]
u管理図 [統計] > [管理図] > [属性管理図] > [U]

※ Minitab 16 では、[属性管理図] から、[計数管理図] に変更されました。


今回のデータは最も簡単な個別管理図を利用します。


  1. [統計] > [管理図] > [変数管理図 - 個別] > [個別] より [個別管理図] ダイアログを開きます。
  2. [変数] に、'試供品配布数' と入力し、[OK] をクリックします。

※2015/3/20 追記

SlideShareにMinitab 17による管理図の作り方をアップしました。こちらも是非ご参照ください。



2. 統計的管理状態の判定

管理図には、中心線と上下の管理限界線とがあり、管理限界は中心線のまわりのばらつきを見る物差しとしての役割を持っています。それゆえ、もし、点がこの管理限界を超えて打たれたときは、この点を管理アウト、あるいは管理はずれと言います。管理アウトの点が出たということは、


  1. 偶然原因による変動で点が限界線の外に出た
  2. 工程に異常原因が発生して点が限界線の外に出た

の2通り考えられます。

1. は3シグマの管理図については、確率的に0.27%で起こりえます。しかし、基本的には、2. を考え異常原因の追究をしていくのが管理図活用の基本です。

点の動きのパターンが以下に説明する8つの判定ルールに該当しないこと、すなわち以下のいずれもなければ工程は統計的管理状態とみなすことができます。何らかのパターンが出現した場合、詳しく調査すべき変動の特殊要因の存在を示唆しています。


8つの判定ルール
検定1
1点が中心線から3sを超えている。
検定2
連続する9点が中心線の同じ側にある。
検定3
ある行の6点、すべて増加または減少である
検定4
連続する14点が交互に増減している。
故意に作られたデータでこのような現象がよく見られる。
検定5
連続する3点中2点が限界線と2σの間にある。
(接近)
検定6
連続する5点中4点が限界線と1σの間にある。
データが正規分布するのならほとんど起こり得ないこと。
工程平均が領域Bに移動するような異常事態が発生したとみなせる
検定7
連続する15点が中心線から1σの間にある。
(中心化傾向)

このような現象は、層別や群分けの仕方による。
また標準値が存在し、σ0が規格より小さい場合、あるいは、
意図的にデータを修正するような場合に見られる。
検定8
連続する8点が中心線から1σの外にある。
このような現象は、層別や群分けに問題がある場合がある。

それでは、先ほどのデータに、補助線を加え、検定1から8までを検証してみましょう。


検定方法の変更方法

  1. [最後のダイアログボックスを編集する] アイコン、または、Ctrl + E をクリックして、[個別管理図] ダイアログを開きます。
  2. [I 管理図オプション] をクリックし、[テスト] タブに移ります。
    [特殊原因に対してすべての検定を実施する] に変更して、各ダイアログにて、[OK] をクリックします。

補助線の加え方


  1. 表示したグラフの上で、右クリックします。
  2. [加える] > [参照ライン] をクリックして、[次のY位置の参照ラインを表示]に、'29.12 25.42 18.02 14.32' と入力して、[OK] をクリックします。
  3. 参照ラインが表示されたら、参照ラインの上で右クリックします
  4. [Y参照ラインを編集] を選択し、各種設定を変更することができます。

X軸ラベルの変更方法

  1. 表示したグラフの上で、X軸(Xスケール)の上でXスケールの [スケールを編集する] ダイアログを開きます。
  2. [スケール] タブの、[目盛位置] エリアにて、[目盛位置を指定する] をチェックし、'1 5 9 13 17 21 25 29 33 37 41 45' と入力します。
  3. [ラベル] タブの、[主目盛ラベル] エリアにて、[指定された] をチェックし、以下を入力します。
    '2005/10/31 2005/11/28 2005/12/26 2006/1/23 2006/2/20 2006/3/20 2006/4/17 2006/5/15 2006/6/12 2006/7/10 2006/8/7 2006/9/4'
    ※ もしくは、[時間] タブをクリックし、[スタンプ] にチェックした後、'日付' を入力します。

試供品配布数と8つの検定ルール - I管理図


試供品配布数と8つの検定ルール - セッションウィンドウ


今回のデータでは、グラフをみると、29(5/15の週)のデータが検定5に当てはまっているようです。
異常原因を追求しますと、この週はGWの期間で、休み中で配布できなかったものと考えることができます。

このように、この異常兆候判定のルールはあくまでも目安として理解してください。工程の状況を技術面からよく見極め、工程上の判定ルールを設定していくことが大切です。

今回のデータで言えば、もし広告活動を行った場合に、[検定3 連続する6点が増加または減少傾向が見られる]がチェックされたとしたら、その広告活動は効果があったと判断することができます。