Excel で行う財務諸表をベースにした経営リスク分析

Excel 経営をそのままに、不確実性を考慮していきましょう

近年、社会を取り巻く情勢はめまぐるしく変化に対応すべく信頼性の高い経営計画が求められております。 企業価値経営やROIC経営などのキーワードが散見されますが、 それらの基礎にあるのは、財務諸表をベースにした適切な評価やリスク分析となります。

損益計算書(P/L)、貸借対照表(B/S:バランスシート)、キャッシュフロー計算書(C/F)などの財務諸表から 経営状態を把握することに加えて、リスクを考慮した計画(年度計画、中期計画など)の評価と計画見直しが必要となります。 特に将来の経営状況を想定しながら信頼性の高い計画を策定する場合には 不確実な要因が多く含まれるためリスク分析は必須と考えられております。

今回はリスク分析ソフト Crystal Ballを用いてExcel をベースに 不確実性を考慮した計画を分析・評価した事例をご紹介します。

キーワード: 経営リスク、財務分析、モンテカルロ・シミュレーション感度分析

背景:ある企業Kの昨年度の営業利益は2,100百万円で、今年度は昨年度を超える信頼性の高い計画が求められています

企業Kは部門A,B,C,D,Eの5つの事業ユニットを有しており、本年度の計画を策定する際に変動する要因として各事業ユニットの 売上高と売上原価と設定します。 このような変動要因について過去のデータや経験知などから確率分布を定義しモンテカルロ・シミュレーションを実施することで営業利益を確率的に評価することが可能となります。

また、感度分析を実施することで結果(営業利益)への影響度の大きい要因を特定し、その要因について詳細なデータを収集し確率分布を 設定し直したり、重点的に改善試作を実施した場合にどのような結果になるかを定量的に把握します。

モンテカルロ・シミュレーションとは?
確率分布に従って発生した乱数により要因が変動する数千、数万回のシナリオを自動的に作成することで確率的な評価を実施する手法です。 本検討では10,000回のシナリオを作成し営業利益の変動リスクを評価します。

過去データを参考にして各部門の売上に確率分布(三角分布)を定義

モンテカルロ・シミュレーションを実施した結果、計画段階では営業利益の平均値は2,572百万円となり、 昨年度の営業利益2,100百万円を超える確率は89%となります。 さらに、本結果に対して感度分析を実施する感度の高い要因は、部門Bの売上、部門Dの原価であることがわかります。

この結果よりさらに信頼度の高い計画にするためには何らかの対策を実施し効果を定量的に説明する必要があります。

部門Bの売上の最尤値を3,000百万まであげる施策と、部門Dの原価を47~57%に抑える施策を実施した場合も同様に計算した結果、 営業利益の平均値は2,856百万円、昨年度を超える確率は97%となり8ポイント改善することがわかります。

営業利益を感度分析してインパクトのある要因を特定

財務諸表のモデルをさらに発展させると、複数年にわたって企業の業績を予測することが可能です。 モンテカルロ・シミュレーションを用いて、不確実性を考慮した利益変動やキャッシュフロー分析を行い、 さらにCrystal Ballの描画機能を使用して、より説明性の高い分析を実現することができます。

トレンドグラフを用いてブレ幅を持った将来予測を実施

複数年にわたっての検討については以下の記事にまとめております。ぜひご覧ください。

Excelで行う財務諸表をベースにした経営リスク分析(発展編)

概要 基礎編では、財務諸表の情報を参照しながら、Crystal Ball を活用してリスク分析を実施しました。 →Excel で行う財務諸表をベースにした経営リスク分析(リンク) こ…

リスク分析ソフト Crystal Ball を利用することでExcel上で様々なモデルを構築し、 リスクを考慮した定量的かつ確率的評価により経営分析や計画策定支援を行うことができ、 社内説明や関係者内でコンセンサス向上の効果も期待できます。 また、リスクを加味した将来的な財務状況の数値をもとに倒産確率、Zスコア、返済余裕度などの 経営指標を算出することで、より深い分析と信頼性の高い計画策定へとつながると考えられます。

さて、Crystal Ball の活用に関する資料をご準備しております。 各業界における事例をもっと知りたいという方は、 ぜひ下記より資料をダウンロードをしてお役立ていただければと思います。

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