ファイナンシャル・プランニングの事例

2000/4/27 ウォールストリートジャーナル記事より

お読みいただく前に

いずれも少し古い事例となり、現在も使われているかの保証はありません。しかしながら、Crystal Ballは現在も国内外において、以下と類似する目的でご活用いただいております。広くはリスク分析の企業への適用事例としてご参考になるかと思い、掲載をしております。

2000年4月27日 ウォールストリートジャーナル記事より

「貯蓄について考えることは大切です」
「モンテカルロ・シミュレーションは、ファイナンシャル・プラニングの中で最も確実な方法でしょう」

子供が大学を卒業できるように、また退職後の生活のために、貯金の利率をより良くして貯蓄を十分なものにしたいとお考えですか?
【それなら是非、モンテカルロをお試し下さい。

モンテカルロ方式は、ファイナンシャル・プラニングの分野における最も人気のあるツールの一つ

ナスダック株式市場の最近の動向を知る投資家ならば少しは考えてしまっているかもしれませんが、我々はサイコロなんかでファイナンス上の決定をしなさいなどとアドバイスをするつもりはありません。モンテカルロは、ファイナンシャル・プラニング・シミュレーションの一つで、投資家のファイナンシャル・プラニングの目的に合うよう利率を上げることができると、好評です。

ニュージャージー州Chatham市にあるBugen Stuart Korn & Cordaro社の投資アドバイザー、クリストファー・コルダロ氏は次のように言います。「自分が認識しているよりもずっとリスクが多いのです。でもみな、根拠のない感覚に従って投資しても平気でいます。」

コルダロ氏はこのような理由から、アドバイスにはモンテカルロ・シミュレーションを使うことにしています。このアプローチは、何千ものシナリオをコンピューターにかけ、多数の確率変数が関わる状況下において起りうる結果の見積もりをします。

コンピューターを使っても一時間以上かかる(※現在では、パソコン性能の向上のため、一時間以上かかるケースは少なくなりました)複雑な分析ですし限界もありますが、モンテカルロ方式は、ファイナンシャル・プラニングの分野における最も人気のあるツールの一つとして急速に認められつつあります。

多様な例

投資信託会社のT. Rowe Price Associates 社は、財産を枯渇させてしまったり遺産として残したい資産を使い果たしてしまったりすることなく退職者がどのくらいの額を毎年使えるのか、個々の顧客のニーズに合わせて相談する新サービス「退職年金管理人」を最近始めたところですが、モンテカルロの技術をこのサービスに応用しています。

独立系ファイナンシャル・プラニング会社の多くでも、モンテカルロ・シミュレーションのソフトウェアを用いています。Financial EnginesというNobel Laureate William Sharpeによって設立された会社もこのソフトウェアを使用しています。また他会社もこれらに続いています。

バージニア州Richmond市にあるFinanceware.com社のfinancialplanauditors.comでは、過去の収益に基づく確率分析を用いており、又新たにモンテカルロシミュレーションを用いたwealthsimulator.comという第二のサイトを6月に開始することを計画しています。

また一方では、DenverのDecisioneering社やオレゴン州PhilomathのMoney Tree Software社のようないくつかのソフトウェア会社は、モンテカルロのソフトウェアをのファイナンシャル・アドバイザーに売り込んでいます。

ところで、どんな計画でもないよりはましですが、それでも伝統的なプラニングモデルから導かれた数字は「それが正確でない時にも正確だという幻想を与えかねません。」ミネアポリスの投資アドバイザーであるロス・レヴィン氏はモンテカルロ分析を用いる一人ですが、このように言います。

退職者用の計算モデルを提供するサイトの一つ、Intuit社の Quicken.comを例に取りましょう。 あなたのファイナンスと投資利益の推測の情報につなげると、画面は緑か赤の光で、あなたが退職の際に十分貯蓄があるかどうかを示します。

しかし人々がこの緑の光からは分からないことは、彼らの成功の確率が95%か60%かどちらかということです。「成功はどのくらい確かなのか。黄色に変わるちょっと手前くらいでしかなく、やっとのことで成功する程度の確率なのか」とコルダロ氏は問います。

Quicken.com のシニア・プロダクト・マネジャーのジェニファー・ハーグリーヴス氏は、このツールは、確率を分析するようにはプログラムされていないと反論します。「緑の光は、顧客が入力した情報に基づき、その情報通りにいけばうまくいくだろうということを示しています。よって、自分自身が正しい選択をしているか確認するためには、このツールの使用は大変良い出発点となります。」

モンテカルロ・アプローチは、完璧ではありません。モンテカルロ・シミュレーションを顧客のために使用するフロリダ州Coral Gables市のファイナンシャル・プラナー、ハロルド・エバンスキー氏は、モンテカルロのモデルは人の推測と同じくらいの正確さでしかないと言います。「処理によっても不確実性をなくすことはできないのです。」

さらに、最近オンラインで利用されているモンテカルロ分析は、限界があります。例えば、Financial Engines はあなたの退職後の生活のためにどれだけ貯蓄をすればいいか教えてくれますが、退職後のためにいくらあるべきかについては教えてくれません。投資家が彼ら自身でそれを判断しなくてはなりません。「退職後の生活設計用のツールは、現在開発中です。」と、このサイトの会長兼CEO(最高経営責任者)である、ジェフ・マギオンカルダ氏は言います。

それでも、確率分析がファイナンシャル・プラニングに対して何らかの価値があるということについて反論する者はほとんどいません。モンテカルロ方式は他の産業では何十年にもわたって使われてきました。

この基準は、1940年代のニューメキシコ州Los Alamosの科学者によって、原子爆弾を作る際に原子粒子の性質を理解するために使われていました。最近では、都市計画者が交通パターンを予測する時の手助けとなるように応用され、また起りうる結果を予測するための制度化された投資ポートフォリオとしても応用されています。

レヴィン氏は、モンテカルロ分析ソフトウェア(Decisioneering社のCrystalBall)を使い、単一の課題に対してシミュレーションを500回も繰り返します。彼は「インフレーションは2%から4%間で、利益率は7%から9%間」などといった特定範囲の数値を各確率変数に入れ、シミュレーションをします。

「T. Rowe Price社の「退職年金管理人」サービスを支えるソフトウェアは、製造され始めてから3年経ちます」とスポークスマンのスティーブ・ノーウィッツ氏は言います。顧客が支払う500ドルは、モンテカルロ・シミュレーションを使用する初期分析とその後引き続いて各年のレビューをするために使われます。

遺産を残しているか、市場リスクを回避したいかなど、8要素について顧客に0から10までの数字をつけさせ、コンピューター・プログラムがそれらを考慮に入れます。そして顧客は、彼らの財産が今後どのくらいの確率で持ちこたえるか、異なった確率から導いた3通りの可能性について知ることができます。その際T. Rowe社が推薦する確率の最低基準は、70%です。

伝統的アプローチでの最大の問題は、利益率、インフレーション、そして他の変数に関して平均値が一定として推察していたこと、また投資計画に本来備わっている不確実性を説明できないことでした。

ノーウィッツ氏は以下のような例を使って、不確実性を説明します。「S&P500の平均年率が11.7%であった1968年と1998年の期間を考えてみましょう。もしある投資家が1968年に退職して25万ドルの退職金をもらい、11.7%の平均年率を予期できるとすれば、彼は最初の年に全財産の8.5%を引き出して、その後3%ずつ引き出す額を増やしていっても構わないと推察できるかもしれません。」

しかし、現実の年率で考えると、彼は1981年にはお金を使い切ってしまったでしょう。なぜなら、株式市場の平均価格は退職時に彼らの推察した値よりも低かったからです。もし1998年に始まった年率で1968年まで遡れば、投資家は期待したよりもはるかに多くの財産を残していたでしょう。

こういった様々な可能性がある時に、モンテカルロ・シミュレーションは詳細な数字を使うことで不確実性をできるだけ取り除くことができるのです。ニュージャージー州Randolph市の出身のスティーブン・ハース氏は、53歳でAT&T 社の早期退職者制度を受け入れるのに十分な貯金があるか確信がありませんでした。そこで彼は、コルダロ氏に相談することにしました。

ハース氏が95%の可能性で110歳までは彼がお金を使い切ってしまわないとコルダロ氏が結論付けた後、ハース氏は早期退職者制度を受け入れることにしました。彼の配偶者は、収入が下がるにも関わらず彼女が望む仕事に転職しました。

「かなり貯蓄があることを理解していたのですが、それが十分であるか自信がありませんでした」ハース氏は言います。「しかし、どんな最悪のシナリオでも私が気楽に残りの人生を過ごせることが分かり、不安が解消されました。」

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