リスク分析とは

リスクは必ずしもネガティブなものを指すキーワードではありません
ExcelやCrystal Ball を活用してリスクの波を乗りこなしましょう

リスクと聞いて想定されるイメージ

状況の不確実性がリスクを生み出します

リスクという言葉は、日常生活において様々な場面で使用されます。

病気、倒産、紛争というように、危険や不安といった良くない結果を導くような印象のある言葉です。

しかし、本来リスクという言葉は良くない結果が起こる可能性だけでなく、予測から外れる確率、つまり不確実性を指します。

例えば、次月の売上高が予想を大幅に上回るとすれば、企業の業績が伸び望ましいことに思えるかもしれませんが、注文の結果在庫が減り納品に遅れが生じる可能性が高まります。

納品の遅れが将来の注文の減少につながるとすれば、結果的に業績が落ちてしまうことになり、その可能性がリスクとなるのです。

ビジネスリスクに分類されるものと、内外の分類

ビジネスにおけるリスクとは?

リスクと一言で言っても、様々な事象のリスクが考えられます。

災害、スケジュール超過にかかる費用や在庫の不足、将来の売上、地質調査の結果、人事異動、 商品の需要、人件費の変動、政府の認可、合併の可能性、審議中の法案など、分析をすればするほど多くのリスクが明らかになってきます。

分析を行う上でまず重要になるのが、「そのリスクがビジネスに内在するかどうか」です。

例えば災害は、発生したときの影響度合いは分析することができますが、実際に災害というリスクを分析者の意志によってマネジメントすることはできません。 このようなビジネスの外にあるリスクは、保険やマニュアル等で起きてしまった場合の対応策を用意するのが一般的です。

このようなリスクを純粋リスクと呼び、リスクマネジメントよりも、 発生してしまった後の行動を検討するクライシスマネジメントに重点が置かれています。 近年話題になっているBCP(事業継続計画)がその一例です。

投機的リスク

一方で、「商品が売れると思っていたのに実際は売れなかった」といった事業評価の見誤りや品質欠陥によるリコールのリスクは、 リスクを認識し分析することで定量評価することが可能です。リスクを定量化、つまり数値化することができれば、 リスクが引き受けるに値するものかどうかを意思決定することができるのです。

事前に定量評価して適切なマネジメントを行えば、利益を生む可能性もあります。このようなリスクを投機的リスクと呼びます。 このようなリスクに対しては、リスク分析を行うことで「将来にどのようなことが起こるのか」「将来何をすべきか」を考えなければなりません。

スプレッドシート(Excel)でのリスク分析イメージ

単なるデータ整理から分析のツールへ

リスク分析には様々な方法で行うことができますが、その1つがスプレッドシート(Excelなど)上にモデルを構築する方法です。

スプレッドシートを使うと変数間の因果関係を式やセル参照によって特定することができるので、 適切なモデルを構築できればリスクがどこにあるのかを特定することが容易になります。

しかし、スプレッドシートを単なるデータの記録だけに使っている場合は、モデルを構築しているとは言えません。

例えば、売上データ・在庫データ・会計データなどに対し、合計や小計を出すための数式だけを使っていたとしたら、それはモデルを構築しているとは言えず、 データ、数式、関数を組み合わせ、どのような処理を行うかを示して、初めてモデルと呼ぶことができます。

シナリオ分析(3点法)とモンテカルロ・シミュレーションの違い

スプレッドシートモデルの欠点もCrystal Ballが補います

スプレッドシート上でのリスク分析は効果的ですが欠点があります。

スプレッドシート上のセルには同時に1つしか値を入れることができず、範囲や複数の値を入れることはできません。

そのため良いケース、通常のケース、悪いケースの変化を見るためには、セルの値をその都度入れ替えて計算結果を確認する必要がありました。(これをシナリオ分析と呼びます)

さらに、「起こりそうな」シナリオを考えて結果を導出する方法は「主観的なリスク分析」であり、 リスク分析により説明性を持たせるには数シナリオ、数十シナリオを勘や経験に基づいて考えるだけでは不十分であると言えます。

そこで役に立つのがモンテカルロ・シミュレーションです。

モンテカルロ・シミュレーションの必要性

リスク分析を行う際にモンテカルロ・シミュレーションを適用するためには、 何がどれくらいの幅で、どの程度起こりうるかといった変動を考えなければなりません。

とりわけ事業評価や需要予測を行う際には、どれくらい売り上げが変動するか、材料費の価格はどこまで変動するかなどを考慮することが肝要です。

このようなリスク(不確実性)には確率分布を適用することによって、その確率の中で乱数を発生させることを試みます。 乱数の発生に確率分布を組合せることによって、より精密で説明性の高いリスク分析を行うことが可能です。